2018年 04月 03日
困ったり、悩んだり、心配したり。 ニホンゴのハナシ #03 |
ということで、少し遅くなりましたが3月分の「ニホンゴのハナシ」です。
最近、中上級レベルのプライベートの生徒を担当しているのですが、先日、その生徒から「困る・悩む・心配する」の使い分けがよくわかりません。と相談されました。
そう言われて考えてみると、確かに、
○お金のことを心配する
○お金に困る
○お金のことで悩む
など、似たような表現がある言葉ですよね。
一方で、
○人生に悩む
✕人生に困る
✕人生を心配する
○このことが知られると困る
✕このことが知られると悩む
✕このことが知られると心配する
○すぐ戻るので心配しないでください
✕すぐ戻るので悩まないでください
✕すぐ戻るので困らないでください
など、似たような文でも使えないことがあります。
うーむ。使い分け「に困る/に悩む/を心配する」のも納得。
そして意外とネット上でこの3つ(特に「困る」と「悩む」の違い)をすっきりまとめているサイトがない・・
これはじっくり考えてみるいい機会だと思い、まず、辞書で意味を調べてみることに。
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【 困る 】
1 ある物事をどう判断・処理してよいかわからず悩む。取り扱いがやっかいで苦しむ。困惑する。もてあます。手を焼く。
2 つらいことにあって苦しむ。難儀する。
3 不都合である。迷惑する。
4 金や物がなくて生活に苦しむ。困窮する。
【 悩む 】
1 決めかねたり解決の方法が見いだせなかったりして、心を痛める。思いわずらう。
2 対応や処理がむずかしくて苦しむ。困る。
3 からだの痛みなどに苦しむ。また、病気になる。
4 とやかく言う。非難する。
5 (動詞の連用形に付いて)その動作が思うようにはかどらない意を表す。
【 心配 】
1 物事の先行きなどを気にして、心を悩ますこと。また、そのさま。気がかり。
2 気にかけてめんどうをみること。世話をすること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
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「困る」の1で「悩む」って言っちゃってる・・。
「悩む」の4の用法は知らなかった・・。
「心配」も「悩ます」って言ってる・・。
でも、「心配する」は「困る」「悩む」と少し毛色が違って分かりやすい部分も。
「物事の先行き」というところ。
つまり、まだ起きていないこと・これから起こるかもしれないことについての気持ち、ということか。
なるほど、なるほど。
「困る」と「悩む」の方が近しい感じがして難しいのですが、
考え始めた時からずっと私の頭にあったのは「困る」の「箱感」、そして「悩む」の「ぐるぐる感」。
「困る」は問題のある状況=「箱」の中にいるイメージ。
(そもそも、「困」という漢字が、枠をはめられてそれ以上成長できない「木」を表していますし。)
「悩む」は、自分の中で「あーでもない、こーでもない・・」とぐるぐる考え込んでしまっているイメージです。
イメージはきちんと図にした方がわかりやすい!
ということで、ネット上からイラストを見つけてきて3つを整理しました。
Illustration by いらすとや
こうして整理してみると、「困った(状況がある)」とき「悩む(自分の中でぐるぐる考える)」ことが多いから、この2つは概念的に混同されることが多いんだ!
ということがよく分かりました。
中上級の生徒にも、この図で説明してイメージを掴んでもらい、その後の練習問題でチェックしたところ、ちゃんと理解してくれてました。
はぁ、よかった
何気なく使っているけど、いざ聞かれると違いが分かりにくい言葉は山ほどありますが、イメージ化するとすっきりすることがあるので、今後も可能な時は使っていこうと思います。
by kikijourney
| 2018-04-03 03:57
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